FIZZを使った消費者試験!

新春のお慶びを申し上げます。
2018年も、どうぞよろしくお願い致します。

さて、官能評価ソフトウェア FIZZ ですが、お陰様で国内ユーザー数は60近くまで増えました。多くのユーザー様の⽤途は、分析型官能評価ですが、消費者試験にも活⽤できます。しかし、FIZZ Networkでは、ライセンスのクライアント数によって同時に評価できる人数が限られるため、消費者試験のような被験者数が多い場合には、適さないかもしれません。そこで、弊社ではFIZZ Formsを⽤いて消費者試験をサポートすることを開始しました。

FIZZ Formsでは、FIZZで設計した試験用紙を印刷し(何百名分でも可)、回答を得たあとにスキャナで取り込むことで、FIZZの解析機能を使うことができます。スキャナでデータを取り込むため、人為的な誤入力が防げるほか、ラインスケールのような手間のかかる集計も自動であっという間に行えます。

FIZZを利用されている方のご依頼はもちろん、FIZZユーザーでない方の試験設計、データ入力・解析も受託します。QDAに消費者嗜好データを統合したプリファレンス・マッピングの作成など、FIZZの充実した機能を商品開発プロセスにさらに活かしてみませんか?

※ 消費者の募集、実査は、既存の市場調査会社を利用頂いても構いません。

いつでも、どこでも、簡単に官能評価ブースが作れます!

官能評価の5つの資源、ご存知ですか?

[1] パネリスト
・・・言うまでもなく、誰を使うか、その選抜は非常に重要です。偶然以上の確率で識別ができないパネリストを使うと、ベータリスク(本当は違いがあるにも関わらず、違いがないと誤った結論を導くリスク)が高まります。前回ご紹介したフレーバースタンダードが、選抜試験や、パネルの継続的なトレーニングのお役に立ちます。

[2] 手法
・・・目的に応じて、どのような試験を採用するか、評価手法によって得られる情報が大きく異なります。1つの手法であるQDAは、製品の官能的特徴を記述し、かつ定量的に数値化ができ、消費者嗜好データや機器分析データとの相関づけにも有用です。

[3] サポートサービス
・・・いわゆるデータ収集、または解析用のソフトウェアなどです。最近は、TIやTDSなどの経時的な評価手法のニーズの増加なども講じて、官能評価ソフトウェア FIZZのユーザー数が増加中です。

[4] 予算と承認
・・・どんなに担当者レベルで官能評価の必要性を感じられていても、社内における認知、理解、そして十分な予算がないと、試験ができません。日本では、残念ながらここが意外と高い壁であったりします。

[5]
そして、5つめは・・・今回のテーマである官能評価ブース、つまり「施設」です。必ずしも、分析型官能評価をブースで行う必要はなく、製品に応じてレストランや野外など、実際に使用する場面で行うこともできます。しかし、できるだけ統制をとった試験を行うためには、管理された空間も大切です。

国内では、スペースの問題、また高い工事費などが理由で、なかなか常設した官能評価ブースをたてることができません。そこで、The Lab in the Bagのポータブルブースであれば、使いたい時に、使いたいところに組み立てるだけで、すぐに官能評価が実施できます。テーブル上で簡単にパーティションを組むものから、孤立したブースまで、ブースの種類は豊富で、照明やシンクなどのオプションまでも用意されています。

5つめの資源、満たされていますか?

 

GMPフレーバースタンダード新発売!

先週のifia JAPAN(2017/5/24-26)で、GMPフレーバースタンダードを初めて展示しました。日本食品化学学会企業展示コーナーのなかの小さなブースでしたが、多くの方にお立ち寄り頂き、ありがとうございました。
flavour standards
GMPフレーバースタンダードは、フレーバーをすべて粉末にし、カプセルに充填することで、2年近く室温で保存することができます。使用方法も簡単で、カプセル内のフレーバーを約1Lのサンプル(実際の製品)に入れるだけです。

これで、だいたい認知閾値の3倍程度の濃度になるように調製されています。これまでラボで試薬を調製していた面倒な作業がなくなります。また、離れた複数の施設で同じ評価を簡単に実施することができます。GMPガイドラインを遵守した医薬品工場で製造されているため、品質は十分保証され、口にしても安全です。

こうしたフレーバースタンダードは、官能評価パネルの選抜、トレーニングに最適です。パネルの感度を評価する際、フレーバーの閾値はマトリックスによって異なるため、実際の製品を用いて行うことが基本です。また、一度選抜したパネルでも、その感度を継続的に訓練することも重要です。エビングハウスの忘却曲線でも、定期的な復習の効果が証明されています。

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官能評価の重要な資源の1つが、パネルです。
パネルの選抜、継続的な訓練に、GMPフレーバースタンダードをぜひご利用ください。

欧州での官能評価サービス開始

日本の消費材市場が飽和している昨今、海外の市場に目を向ける企業も多いのではないでしょうか?

弊社は、これまで海外における官能評価の研究者達とのネットワークを活かし、欧米、アジアでの官能評価、消費者調査を遂行してきました。

このたび、フランスのディジョンを拠点にした、官能評価・消費者試験のプロフェッショナルSensoStat 社と提携し、欧州における質の高い官能評価・消費者試験サービスを開始致しました。

これから欧州の消費者をターゲットに商品開発を進める過程において、現行品の製品ポジショニング、受容度調査などに、ぜひご利用ください。

▼官能評価・消費者試験サービス @ 欧州
http://www.alpha-mos.co.jp/sensory/sensostat.html

SensoStat

QDAデータの解析と解釈(最終章)

久しく更新が滞ってしまいましたが、2016年の最後でこれまで続けていたQDAプロセスに関する連載をまとめたいと思います。

前回は、パネルのパフォーマンスの評価について書きましたが、サンプル間の差の有効性を結論づける際、交互作用の効果を知ることが大切です。交互作用は、繰り返し試験をした二元配置分散分析によって誤差項から分離することができます。つまり、1回だけの試験では明らかにできません(繰り返しの試験が、QDAの本質です!)

交互作用には、相殺効果と相乗効果の2つのタイプ(下図)があり、パネリスト間の感度、または尺度の使い方に違いがあることを考えれば相乗効果に有意差が出ることはそれほど問題ではありません。もし相乗効果の交互作用があるときは、スコアを順位に変換して解析することもひとつの手段です。それに対して、相殺効果はサンプル間の順位の違いを反映するのでより解釈に注意が必要です。

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一般的なQDAデータの二元配置分散分析の一例を下表に示します。
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分散分析でサンプルの効果に有意差が見つかったとき、どのサンプルに差があるかを確認するために多重比較検定を行います。多重比較検定には、Duncan、Newman-Keuls、Scheffe、Tukey (a)、Tukey (b)、LSD、Dunnettなど多くの手法がありますが、主に第1種の過誤と第2種の過誤のどちらを重点的に保護するかを考慮し、選択することになります。前者ではTukeyが、後者ではDuncanがよく利用されています。

また、サンプル間の違いを視覚化するために利用されるのが、主成分分析です。属性間の相関を利用してQDAデータに含まれる多くの情報を抽出、集約する方法で、新しい2軸上にサンプルを分類し属性との関係をよりよく理解することができます。

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最後に・・・製品の官能的特徴を日常用語で記述し数値化した記述分析データは、消費者の嗜好、購買意欲、用途、イメージなどの市場調査データと関連付けて用いることで、製品の強み・弱みを明らかにし、マーケティング部門と開発部門との橋渡しに貢献します。もちろん、機器分析データの相関づけにも最適です。

さて、今年も一年間お世話になりありがとうございました。
来年は、これまで度々紹介してきました「官能評価と機器分析のデータの活用」から、少し触れていきたいと思っています。

では、2017年が皆様にとって実りのある年となりますように。。。

QDAデータの解析と解釈(1)

先日、Dr. Herbert StoneによるQDAワークショップを開催致しました。Stone先生と一緒に仕事をし始めて10年以上になりますが、官能評価の認知や向上に懸ける強い思いは相変わらずで、精力的な活動に大変頭が下がります。今回も多くの皆様にご参加頂き、ありがとうございました。QDAに関して、より理解を深めて頂ければ幸いです。

さて、QDA法のデータをとったあとの解析は、一般的に難関のようです。今回のワークショップのアンケートでも、難しいという声が多かったです。

QDAデータの解析には、基本記述統計のほか、分散分析と多重比較検定、それに多変量解析(主成分分析など)が行われます。機器分析データがあれば、各属性との相関を求めたり、あるいはQDAデータと分析データを組み合わせ、回帰分析で消費者の受容度の予測モデルを構築したりすることも可能です。それによって、官能評価の負担を軽減させられ、さらに客観性が高まるので、企業にとっては大いにチャレンジする価値があります。

とはいえ、QDAデータの解析のコアとなるのは、何と言っても分散分析です。まず、一元配置分散分析で、パネリストのパフォーマンスを評価します。下図のグラフ(FIZZにより出力)は、属性「つや」に関して、パネリストの識別感度を示すp値(横軸)と、繰り返し評価の変動を示すCV Anova(縦軸)をプロットしたもので、右下にプロットされるパネリストほど製品間のつやの違いを識別しており、かつ評価の再現性が良いことを示します。識別の目安をp値で最大0.5としたとき、つやを識別できていないパネリストが3名いることが分かります。

分散分析

しかし、パネリスト一人がすべての属性に関する違いを検出できることは期待されません!そのために、約12名ものパネリストを使うのです。また、すべての属性で、サンプル間の違いが検出されることも期待されません。属性は十分理解されていたのか、サンプル間に本来差があったのかについて、次の試験前に再度ディスカッションを行うことが現実的です。

QDA法(6)準備ができたらデータ収集!

QDA試験前にすべきことは、これまで出現した用語の整理や、セッションで用いるサンプル数(食品であれば6〜8検体)、サンプル量、提示間隔など試験プロトコルの確立です。

パネルリーダーが、評価の仕方に関して統制を図ります。また、用語の定義を完成させることは重要です。もし、重複する意味の複数の用語をひとつにまとめるときは、除かれた用語を残された用語の定義に加えることができます。

そして、いよいよ本試験です。
QDAのトレーニング後は、できるだけ期間をあけないでデータ収集を行うことが望ましいです。人の記憶は覚えるのに時間がかかる割に、忘れるのはあっという間ですから。本試験では、モナディック(単一のサンプルのみを試験する)法でデータを収集します。

ひとつのサンプルとスコアカードを提示し、その評価後に両方回収してから次のサンプルとスコアカードを渡します。最近では、FIZZのような官能評価ソフトウェアがあるので、利用することでペーパーレスで試験が行えますし、回答漏れを防ぐこともできます。

サンプルの提示順序は、複数刺激の順序効果を防ぐためにパネル内でランダマイズ化します。そして、試験は必ず繰り返し(通常3回〜4回)行います。その分、時間はかかるため省略されがちですが、分散分析での誤差と交互作用(サンプルxパネル)を分離するために必須です。

QDAtest

新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。
旧年は、途中でブログの更新頻度が減ってしまいましたが、今年は、なんとか挽回していきたいと思います。どうぞ本年もよろしくお願い致します。

さて、新年の幕開けと同時に、アルファ・モス・ジャパンの第9期がスタートします(今期から決算月が12月に変更となりました)。心新たに、官能分析手法の普及にさらに努めていきたいと思います。

アルファ・モス・ジャパンのミッションは、知覚の評価における機器分析と官能評価の科学的な融合です。昨年も、国内外の学会やセミナーで香りや風味の機器分析や官能評価事例を発表してきました。お陰様で、ユーザー様の具体的な成功ケースも増えてきています。
http://www.alpha-mos.co.jp/event/index.html

2016年上期には、次のようなプログラムを予定しています。

1月27日 TMS研究会
「イオン分子反応質量分析計の概要とリアルタイムガス、におい分析への応用」
2月3日 北海道食品加工研究センターセミナー
「におい分析の最新技術と食品開発・品質管理への活用事例」
3月上旬 Herbert StoneによるQDAワークショップ
5月18日〜 ifia JAPAN 2016
6月5日〜 ISOT2016
17th International Symposium on Olfaction and Taste
6月上旬 アルファ・モスユーザーフォーラム

今年も多くの場で、皆様とお会いできることを楽しみにしております!
SeasonsGreetings2016blog

QDA法(5)感覚尺度の使い方

これまで、QDA法の用語開発について書いてきましたが、そのプロセスの一部でもあるラインスケールについて今回は取り上げます。

ラインスケールの種類は様々です。

アンカーがないスケールであったり、
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アンカーをスケールの両端につけたものであったり、
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アンカーをスケールの内側につけたものであったり・・・。
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QDA法では、一番最後のアンカーを内側につけた長さ約15cmのスケールを使用します。スケールは、それより長くしても感度が上がらないことが確認されており、また逆に短くすると感度が下がってしまうことが経験的に分かっています。

ラインスケールに、目盛りを振ることはどうでしょう?パネリストの目安のために、つけたくなりますが、QDAにおいては推奨されません。たとえば、真ん中に3つのアンカーをつけた場合では、応答の変動が10〜15%大きくなり、結果的に感度が減少してしまいました。

また、数値をスケールにつけるのも推奨されません。数値は、パネリストにとってのバイアスとなり、たいていは、自らの感覚を覚えるより、数値を覚えることに一生懸命になります。そして、マイナスの数値があれば、誰もがそれをネガティブなものをとらえてしまうでしょう。

このような理由で、現在のラインスケールが誕生しました。

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アンカーの上には、各用語について尺度の方向性を示す用語をつけます。色の濃さであれば「暗い, 明るい」、香りの強さであれば「弱い, 強い」均一性であれば「不均一, 均一」などです。そして、パネリストは各評価用語について、感じた強度の位置にマークをつけます。

データ解析で用いられるスコアは、スケールの左端からの距離を算出したものです。紙での試験だと、物差しで測る手間と人為的ミスを考慮しないとならないですが、最近では便利なソフトウェアも発売されています。

ところで、どのようにこのラインスケールを使うのでしょう?パネリストは、用語開発中に評価する多くのサンプルを通じて、試験するサンプルカテゴリーが呈する強度に慣れます。クッキーの甘さであれば、このくらいの範囲か・・・など。そして、その範囲の中で、自らの感覚を基準化し、同じようにスケールを使うことに集中します。

周囲のパネリストがつける位置を気にする必要はありません。なぜなら、“正しい位置”は存在しないからです。とにかく、反復して評価する中で、自らの感覚強度に基づいて再現良くマークすることを心がけるだけです。パネルの中で、“位置合わせ”をすることで、感度の低下が起こります。また、それに費やすトレーニングは莫大なものです。

QDA法では、反復の評価を行い、パネル全体の平均を分散分析で評価します。そして、個人で強度の差があるのは自然と考え、むしろサンプルのスコアを順位に置き換えたとき、パネリスト間でその順位が逆転しないことをより重視するのです。

機器分析手法をどのように製品開発のプロセスに活かしますか?

「消費者視点からの製品開発セミナー」(2015/6/5開催)には、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。製品の官能的特徴に加え、消費者のもつイメージの調査の仕方、それらを複合的に解釈、まとめる手法についてフォーカスしたものでした。

さて、分析型のパネル、または消費者を用いて製品の評価をすることは、製品開発プロセスにおいて欠くことができないステップであるのは間違いないのですが、その頻度には限界があります。試験する人の問題(時間や感覚疲労)、それにコストの問題です。辛いものや苦いもの、あるいは臭いものをどれだけ継続的かつ客観的に評価できるでしょうか?

そこで、機器分析手法がスクリーニングに役立ちます。ヒトの知覚がいかに複雑に作用するかは、これまでのブログに書いてきました。機器分析(センサーなど)の単一データが、ひとつの属性を直接的に表現できるに越したことはないですが、単純な系では容易であったとしても、原料、プロセスが変わることで、その因果関係が常に維持されるとは限りません。

たとえば、水溶液中のショ糖濃度が増えれば、感覚的に甘さは増え、その結果は溶液の粘性値とも高い相関を示します。しかし、これは限定した系での単相関であり、外観やほかの特性が変化することで、解釈に誤解が生じます。

では、どのように機器分析データを使ったらよいか・・・。
多変量データによる相関です。サンプル選択の際は、競合品などを加えて、できるだけ差があるものを用意します。

記述型の官能評価や嗜好調査を行った15サンプルくらいが理想です。それによって、多感覚器分析システム(外観、香り、風味、食感・・・)による分析値と重回帰分析にて相関モデルが構築され、特定の評価用語に対してキーとなる化学成分、物性値の組み合わせも分かります。

どのような感覚がどのような分析値と相関があるか、また感覚の相互作用がどのようにあるかが、はっきりしない段階では、できるだけ多くのモダリティに関するデータを扱うことが大切です。

ひとつの属性Yを予測する回帰モデルであれば次のようになります。
ひとつの属性Yを予測する回帰モデル

たとえば、赤ワインの「苦味」を予測する重回帰分析を行うと、電子味覚システムの1つのセンサーの応答値、高速GCにより定量されたエタノール量、そして色(a値)がモデルに貢献していることが明確となります。

赤ワインの「苦味」を予測する重回帰分析

トライアル・アンド・エラーのプロセスにおける最終判断はヒトですが、それでも多くの試作品や開発品の中で、最適な解を得るために、機器分析をうまく使いこなしてみると、製品の開発スピードが上がり、開発フェーズの意思決定に役立ちます。

五感のイメージ