香りは紅茶の品質を評価する上で最も重要な要素の一つです。
中国農業科学院茶葉研究所によるJiayu Chen氏らの研究では、紅茶「滇紅（Dianhong/てんこう）」の香りをフラッシュGCノーズ Heraclesを活用して解析した事例が紹介されています。
この研究は、Heraclesと多変量解析を組み合わせた試みとして注目を集めています。研究チームは44種類の滇紅の抽出液を分析し、61種類の揮発性成分を特定しました。その中で、特にアルデヒド類が最も多く含まれていることが明らかになりました。
また、官能評価と相関する香気成分として、フラン、酢酸メチル、2,3-ペンタジオン、リモネン、リナロールが香りの質にプラスの影響を与える一方、3-エチルペンタン、1-ペンテン、（E）-2-ヘキセン、メチルオイゲノールはマイナスの影響を与えることが確認されました。
解析では部分最小二乗判別分析（PLS-DA）とフィッシャー判別分析（FDA）が採用され、滇紅の香り品質を高精度で分類することができました。特にFDAの予測精度は95.2%と非常に高く、Heraclesが紅茶の品質管理に有効であることが示されました。
さらに、ステップワイズ重回帰分析により、香りの品質スコアを高精度で予測するモデルを構築し、その予測モデルの官能評価スコアの相関係数（Rp値）は0.94と高い値を示しました。
ここでご紹介した研究は、Heraclesを活用することで、紅茶の香りという感覚的な要素を数値化し、科学的に評価できることを証明しています。滇紅紅茶の香気成分を特定し、品質評価の精度向上に成功したこの手法は、紅茶だけでなく、コーヒーやワイン、スパイスなど、香りが重要な食品・飲料全般に応用可能です。
フラッシュGCノーズ Heraclesは、こうした食品や飲料の品質管理を効率化し、より信頼性の高い製品開発をサポートします。ぜひ、香りを「見える化」し、新たな価値を創出するために、Heraclesをお役立てください！
参考論文：Jiayu Chen, Yanqin Yang, Yuliang Deng, Zhengquan Liu, Jialing Xie, Shuai Shen, Haibo Yuan, Yongwen Jiang,
Aroma quality evaluation of Dianhong black tea infusions by the combination of rapid gas phase electronic nose and multivariate statistical analysis,
LWT, Volume 153, 2022, 112496
