Electronic Noseで機能性パンを科学する:ビタミンCと魚油の新たな可能性

パンは多くの文化で重要な主食とされてきましたが、近年では健康志向の高まりを受けて、その栄養価や機能性に注目が集まっています。

江南大学(中国)のAngelo Uriho氏等のビタミンCと魚油を強化した機能性パンの研究において、香気成分の変化と品質評価にはアルファ・モスのElectronic Noseが活用され、パンの焼成中に発生する揮発性成分のパターンを迅速かつ正確に分析しました。

魚油に含まれるオメガ3脂肪酸(EPAおよびDHA)とビタミンCをパンに組み込むことで、栄養価を向上させることはできるものの、魚油特有の臭いや酸化による品質劣化が課題となります。

そこで、この課題を克服するため、脂肪被覆型ビタミンCや微小カプセル化技術を使用することにより、魚油特有の臭いが効果的にマスキングされ、消費者受容性が改善されることがElectronic Noseと官能評価によって明らかとなりました。この結果は、Electronic Noseが、パンの品質や官能特性への影響を判断するために極めて有用であることを示しています。

機能性パンの研究は、健康と美味しさを両立させるための新たなアプローチとして注目されています。Electronic Noseは、香りの見える化を通じて、こうした製品開発における取り組みを後押しする強力なツールとしてのポテンシャルを発揮します。


参考論文:

Uriho, A.; Chen, K.; Zhou, F.; Ma, L.; Chen, C.; Zhang, S.; Omedi, J.O.; Huang, W.; Li, N.; Liang, L. Functional Breads with Encapsulated Vitamin C and Fish Oil: Nutritional, Technological, and Sensory Attributes. Antioxidants 2024, 13, 1325.