QDA法に関する初回の投稿からすっかり間が空いてしまいました。なかなか筆が進まず、申し訳ありません。さて、今回は商品開発におけるQDA法のパネル選抜方法について、要点をまとめることにしました。
まず、パネルを構築するとき、商品の知識をもたない社外の人で構成することが理想とされます。期待や経験に基づいて回答するといったバイアスが、評価に影響することをできるだけ防ぐことためです。
それでも、パネルのコストの問題や商品開発情報が外部に漏れるリスクを考えると、できれば社員の中から、という声が少なくありません。その場合、せめて開発に直接関連しない部署から募るのがいいですね。
感度がよい人が選ばれる?
その選抜方法ですが、食品の場合、基本五味の識別や閾値試験が採用されることが多いようです。識別ができて、感度が良い人を探そうという目的なのでしょうが、そこで選ばれた人は、果たしてこれから評価する食品そのものにも十分な感度を有する人なのでしょうか?
どんな食品にも一様の感度がある万能な人は、なかなかいません。
Dr. Herbert Stoneは、閾値試験の結果と実際の試験に供する食品に対する感度との相関は、50%以下だと言っています。これらは、すでに1950年代のいくつかの論文に報告されています。
それに加えて、五味試験の経験が、次の用語開発においてバイアスになるという危惧もあります(例えば、その食品からは塩味を感じないにも関わらず、「塩味」という用語が出てくる)。つまり、識別試験は、実際に評価するもの、またはそれに準ずるもので行ったほうが良いということです。
1対2点識別法
試験には、1対2点識別法を用います。外観や香り、風味、食感などが異なるペアのサンプルを複数準備します。このときのサンプル選択には、開発部門や技術部門などの専門家のアイデアを入れると良いですね。他社品や、原料などの一部をわずかに変更したものを加えたり・・・。
しかし、ここで評価が難しいペアばかり用意するのは禁物です。はじめてパネルの選抜試験に参加する人は、最初は不安かもしれません。誰でも当てることができるような簡単なペアも用意して、最初の段階で自信をつけて、やる気にさせるのも重要です。
この識別試験は、最低2回以上繰り返します。偶然で正解しているのか、識別できているのか、を確認するためです。そして、最終的な正解率の上位から(例えば70%以上)パネルに必要な人数を確保します。これらの結果はデータベース化しておくと、将来的なパネルの補充、または選抜の再試験を行う際に役立ちます。
さあ、ここまででパネルの準備ができました。次は、QDAに用いる用語の開発です・・・。